さらば遠き日~細川政元様への手紙~

今週のお題「あの人へラブレター」

 

拝啓 細川政元

 

あなたには「信長の野望・蒼天禄PK」というゲームで

本当にお世話になりました

 

「蒼天録PK」を初めてプレイしたのは今から12年前ですが

当時の私は仕事で労災事故に巻き込まれ

左手の中指を失うかも知れないという状況だったのです

 

幸い、担当医の腕が良かったので大きな障害は残らずに済みましたが

私は工場で働くことに恐怖を覚えて、悶々とする日々を過ごしていました

 

娘は高校生でしたし、夫のお給料も少なかったので

私が家計を支えなければならなかったんですが

学歴もちゃんとしたスキルもないので

希望する事務の仕事には就けませんでした

 

「蒼天録PK」はそんな私のストレス解消ツールでした

 

もともと亡くなった父親の影響で歴史には興味があり

夫も大河ドラママニアだったので

信長の野望」というゲームはすごく面白いと思いましたよ

 

あなたのいる「蒼天録PK」は2003年に発表された第10作ですが

シナリオ・音楽ともに素晴らしく

さらには自分でオリジナルのイベントを作れる機能もあったので

私は暇さえあればゲーム機を動かしていました

 

あなたは歴史上ではたいへん特異な存在で

後世の人からは否定的な評価をされています

 

そのせいか「信長の野望」でも「蒼天録PK」にしか登場しない

超レアキャラになっていました

 

私はそういう「希少価値な存在」に心惹かれる人ですし

あなたが往年の銀幕スターのようなイケメンだったので

不覚にも淡い恋心を抱いてしまったんです

 

娘からは不謹慎だと言われたことがありましたが

二次元恋愛というのは不倫ではありません

 

むしろあなたに憧れていたというエネルギーがあったからこそ

コンプレックスだらけで生活に希望を見出せない私が

今日まで生きてこられたのだと思います

 

あなたはしばしば私の夢にも登場して

元気の源になったこともありました

 

そんなある日

 

真保裕一さんという方が書かれた

「天魔ゆく空」という小説を読みました

 

あなたが主人公ということで期待を持ってページをめくったんですが

私はまさかの失恋をすることになったんです

 

あなたは腹違いのお姉さんに恋をして

彼女を妻にしたいと考えていたんですね

 

でも「蒼天録PK」というゲームの中で

つねにあなたのそばにいた私は悲しかったですよ

あなたに降りかかった不幸な歴史を

この手で変えたいと強く願っていたからでした

 

私があなたに惹かれたいちばんの理由は

「史実で非業の死を遂げた」からなんです

 

室町幕府管領という役職はさぞたいへんだったでしょう

 

それにあなたが生まれてきた頃は応仁の乱という戦いがあり

実のお父様とお祖父様が敵味方となって争ったんですよね

 

そのためあなたは方々の大名や

あるいは野心を持った家臣から狙われることも多く

細川家の当主でありながら幽閉されてしまったこともありました

 

ついには人間不信となって修験道にはまり

誰とも結婚しなかったために3人の養子を迎えたんですが

そのうちのひとりからの刺客によって、あえなく命を絶たれてしまったのです

 

史実というのは絶対に変えることができませんが

「蒼天録PK」はそのタブーを破ることができるゲームなので

私はあなたを助けたいといつも思っていたんです

 

でも「天魔ゆく空」を読んでから

この想いはただの幻想でしかないと気づいてしまいました

 

あなたにとってはお姉さんが誰よりも大切な人で

それ以外の女性は眼中になかったんですね

 

それは真保裕一さんの描く世界観の中だけなのかも知れませんが

私にとっては、あなたからの決別の言葉のように聞こえたのです

 

これからも「蒼天録PK」やそのほかの歴史ゲームはプレイしますが

もうあなたを追いかけることはいたしません

 

最後に銀河英雄伝説というアニメの台詞を引用して

あなたへのメッセージを締めくくりたいと思います

 

「そう、宇宙を手に入れるのだ

失ったものの大きさを思えば

せめてそれくらい手に入れなくて、どうするのか」

 

この21世紀では人類が銀河系に進出していないので

宇宙を手に入れるのは難しいでしょうが

自分の心に芽生えた野望は叶えて行きます

 

そしていつか小説が書ける文才を手に入れたら

あなたのことをきちんと書きたいですね

 

アスターこと岩松妙香より

室町幕府管領細川政元様へ

 

※追記

 

岩松妙香というのは

信長の野望・蒼天録PK」をプレイする時の私の名前です

オリキャラ名であって実際の名前ではありません